第2 回 ISO/TC8/SC6/WG17
(航海及び操船分科委員会/速力試験作業委員会)
ロンドン会議
2013 年1 月以降に建造契約を結ぶ国際航海に従事する船舶は、EEDI(エネルギー効率設計指標)を計算し、検査機関の検査・認証を受けなければならないこととなっています。この計算されたEEDI 値の検査・認証を行うにあたっては、以下の2 段階のステップを行う必要があります。
・設計段階における、水槽試験による暫定EEDI 値の計算と、その検査・認証
・建造後における、海上公試の結果を踏まえての最終EEDI 値の計算と、その検査・認証
EEDI は、「波、風、潮流のない、静水中」における船舶の燃費を表した指標です。しかしながら、海上公試ではそのような条件となることは滅多にありません。従って、海上公試の結果で得られる数値を正しく評価するためには、海上公試時の外部環境要因(波、風、潮流)の影響を排除することが必要です。海上公試結果を解析し、外部環境要因を排除する方法(海上公試解析法)について、EEDI の議論が行われるまでは、国際的な規格はISO 15016:2002(速力試験データの解析による速力性能及び出力性能の評価に関する指針)しか存在していませんでした。
そこで、IMO のEEDI 検査・認証ガイドラインでは「ISO 15016:2002 又はこれと同等の方法に従って、海上公試の結果を修正すること」が求められることとなりました。
しかしながら、欧州の船社や研究機関がこの状況に異議を唱えました。彼らは、ISO15016:2002には以下の問題点があると指摘しました。
・手法が複雑で分かりにくいこと。
・様々な補正方法が書かれており、それらを適用した結果がバラバラであること。
元々、EEDI 規制の導入までは海上公試はIMO 条約上では要求がされていませんでした。従って、海上公試は船舶の建造契約にあたり行われるものであり、契約関係者が合意しやすいよう、ISO15016:2002 では柔軟性を持たせた国際規格を志向したという経緯があります。
しかしながら、今回EEDI 規制が新しく導入されるにあたり、このような柔軟性が逆に問題であるとされたのです。つまり、柔軟性は基準の抜け道(最もEEDI が良くなるような解析方法を選んでいき、また恣意的な運用をすることで、見かけ上EEDI 値を改善させることができる)リスクとなるとの指摘がなされたのです。従って、彼らはISO 15016:2002 の全面見直しが必要であると指摘しました。
このISO 15016:2002の見直しにあたり、2011 年の第62 回海洋環境保護委員会(MEPC62)において、最初にITTC(International Towing Tank Committee:国際試験水槽会議)で検討を行い、その結果を基にISO で検討を行うことをITTC、ISO の両機関に要請することになりました。これらを背景とした改正を盛り込むため、現在日本主導でISO15016 の改正に着手しており、本件の討議を行うISO/TC8/SC6/WG17(Speed trial data analysis/WG コンビナー:東京大学 高木先生)の第2 回会議を開催しました。
詳細は以下のとおり。
日程:2/14(木)14:00~18:00、2/15(金)9:00~16:30
場所:London Millennium Hotel Mayfair, "Manhattan Suite"
出席人数:14 名
日本:東京大学 高木先生(議長)、愛媛大学 土岐先生、JMU 廣田氏、MHI 田中氏、MES
山本氏、中村
他国:Prof. Straser(ITTC)、Dr. Boom(オランダ)、Dr. Hollenbach(ドイツ)、Dr. Kat(米国)、
Dr. Shin(韓国KIOST)、Mr. Shin(韓国サムスン重工)、Mr. Juhl (BIMCO)、Dr. Wienke(IACS)
詳細につきましては、会員用ホームページ(https://www.jstra.jp/member/)をご覧ください。