2013年2月19日
一般財団法人日本船舶技術研究協会
船技協第7回標準化セミナーの開催結果
日本船舶技術研究協会では日本財団のご支援のもと、工業標準化(ISO、IEC等の国際規格及びJIS F規格の制定)に積極的に取り組んでいます。
今般、2月12日(水)に、船舶分野の皆様の今後の取組みにお役にたつよう、船舶関係ISO規格の作成動向、当協会の活動状況、異業種(航空宇宙及び医療)におけるISO規格策定への取組事例等の情報提供及び意見交換を内容とする標記のセミナーを一般社団法人日本舶用工業会の後援のもと、当協会の舶用品標準化推進協議会の取組として開催いたしました。
今回のセミナーには、造船、舶用工業等の海事関係者を中心に約100名の参加がありました。
参加者からは、国としての標準化政策、船舶関係国際標準化の最新動向及び船技協の戦略的取り組み、航空宇宙及び医療という他業種における積極的な国際標準への取り組みを知ることをでき、今後の標準化活動取り組みへ新たな切り口を見つける良い機会になったとのご意見が多数寄せられました。
開催結果の概要を下記のとおりご報告いたします。
記
1.日時及び場所
日 時:2014年2月12日(水) 13:30~17:00
場 所:メルパルク大阪
参加者:海運、造船、舶用工業等の海事関係者を中心に約100名
2.各講演の概要
経済産業省産業技術環境局 産業基盤標準化推進室 課長補佐
平塚 智章 氏
講演の概要:日本の標準化行政を司る立場から、ISO及びIECの概要、WTOにおけるTBT協定及びWTO政府調達協定の観点から近年増している国際標準化の重要性、欧米及び中韓の国際標準への取り組み状況並びに国際標準化を成功に導くために経済産業省が取り組んでいる戦略(成長戦略における国際標準化政策の位置付、国際標準化と知的財産マネジメントの関係、IEC会長への日本の就任及び2014年のIEC総会の東京への招致など)が紹介され、国際標準化活動を重要視し、積極的且つ戦略的に取り組んでいくべきことが強調されました。
東京海洋大学名誉教授(一般財団法人日本船舶技術研究協会 標準部会長、
ISO/TC8/SC6(航海及び操船分科委員会)議長)
今津 隼馬 氏
講演の概要:船技協標準部会長及び国際議長の立場から、ISO/TC8(船舶及び海洋技術専門委員会)において議論されている重要案件の紹介のほか、船技協におけるISO等への戦略的取り組みの状況に関する解説がありました。また、船技協で実施中のISOコーディネーター制度(ISOへの提案を実施するに際し、企業の専門家とISO規格制定に高い知見を有している者の協力体制を構築するもの)などに触れ、自社技術を世界の標準とすべく是非、これら船技協の活動を利用すべきことを出席者各位に要請されました。
講演3. ISO/TC20/SC14(航空機・宇宙機専門委員会/宇宙システム・運用分科委員会)への日本の取組(講演資料はコチラから)
東京海上日動火災保険㈱ 航空保険部 宇宙保険室 技術顧問(ISO/TC20/SC14/WG1(設計及びエンジニアリング作業委員会)議長、一般社団法人日本航空宇宙工業会 ISO宇宙機(SC14)国際標準委員会委員長)
永島 敬一郎 氏
講演の概要:宇宙産業市場及び同分野の国際標準化を取り扱うISO/TC20/SC14の活動概要が紹介されました。また、国内の課題として、国内における宇宙産業への取り組みに関してはこれまでは開発に重点が置かれ、標準化は注目されていなかったため、欧米の技術に基づく標準に従う環境になってしまっていること、この状況を打破するため、国際会議へ継続して出席し、日本の標準化活動のアピールを国際的に行う一方、国内関係各位への啓蒙活動を積極的に実施していることが紹介されました。また、今後の取り組みに関して、本分野の国際競争力の強化(貿易促進・市場拡大)及び信頼性向上に向け、経済産業省の諸制度の利用促進や船舶業界との将来的な連携などが言及されました。その他、国際標準対応は社内標準の積み重ねであり社内標準の充実が重要であること、宇宙技術を利用する限り標準化活動は永久に継続するところ「標準は力なり」との認識が示されました。
元大阪大学医学部准教授(医療機器の生物学的評価専門委員会/Animal protection aspect)議長)
黒澤 努 氏
講演の概要:自身が国際議長を務める医療機器の生物的評価の分野に関する、国内法体制の現状と国際標準との相違があり、現状における国際標準化活動への対応の難しさが紹介されました。一方で最近になり、国内においてiPS細胞などを応用した医療機器の開発が実際に始まり、医療機器は近未来の我が国の国際戦略品となる可能性が示唆されるようになっていることが紹介されました。その他、国内の実験動物福祉の基盤整備が十分ではない等の課題の提起とご自身の豊富な経験に基づく、国際会議での対応及び国際提案を実現する手立て、すなわち、会議出席者の豊富な知識及び語学力、迷いのない積極性、議上内外での海外出席者へのアプローチ等が必要であるとして、我が国の今後の国際標準化活動への期待を述べました。
(参考)
一般財団法人日本船舶技術研究協会/舶用品標準化推進協議会
第7回標準化セミナー
プログラム
2014年2月19日(水) 13時30分~17時
於:メルパルク大阪
13:00 開場
13:30 開会
13:35~13:40 主催者挨拶
一般財団法人日本船舶技術研究協会 常務理事 田中 護史
13:40~13:50 主催者挨拶
舶用品標準化推進協議会 会長 三輪 元一郎 氏
三元バルブ製造株式会社 取締役社長
13:50~14:20 標準化を巡る日本の最新動向
経済産業省産業技術環境局 産業基盤標準化推進室 課長補佐 平塚 智章 氏
14:20~15:00 船舶分野における国際標準化への船技協の戦略的取組
東京海洋大学名誉教授 今津 隼馬 氏
日本船舶技術研究協会 標準部会長
ISO/TC8/SC6(航海及び操船分科委員会)議長
15:00~15:15 休憩
15:15~15:55 ISO/TC20/SC14(航空機・宇宙機専門委員会/宇宙システム・運用分科委員会)
への日本の取組
東京海上日動火災保険(株)航空保険部 宇宙保険室 技術顧問
永島 敬一郎 氏
ISO/TC20/SC14/WG1(設計及びエンジニアリング作業委員会)議長
(一社)日本航空宇宙工業会 ISO宇宙機(SC14)国際標準委員会委員長
15:55~16:35 医療機器の生物学的安全性試験の国際化
元大阪大学医学部准教授 黒澤 努 氏
ISO/TC194/WG3(Animal Protection Aspect)議長
16:35~17:00 質疑応答
17:00 閉会