1.報告会の目的
IMO第82回海上安全委員会(MSC82)でバラストタンク及び
バルクキャリアの二重船殻部に対する塗装基準(PSPC:2008年7月1日から
強制適用)の採択に伴い、その適用により造船・海運業界へ甚大な影響を
もたらすことが予測されるため、塗装関連の基盤技術の整備を行い、
もって船舶の防食性能の向上と造船・海運業界の国際的競争力の維持を
図ることを目的として、下記の5課題について2007~2008年度の2年間に
亘り日本財団の助成事業として「総合的防食性向上のための研究開発」を
実施した。
本事業の成果を関係業界に広く紹介し、開発技術の普及活用を図る
ために報告会を開催した。
2.報告会の概要
(1)報告会
開催日時:2009年9月18日(金)13:30~16:30
開催場所:日本財団大会議室
出席者数:121名
(2) プログラム
トピックス 「荷物油タンクの防食基準策定の動向」(資料)
吉田 正則(一財)日本船舶技術研究協会 基準・規格グループ 主任研究員
「プロジェクトの概要」(資料)
宮本 武 (財)日本船舶技術研究協会 企画・研究開発PG
テーマ1:「NC切断時のエッジ処理技術」(資料)
大沢 直樹 大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専船舶海洋工学部門教授
テーマ2:「混気ジェットを活用したブラスト技術」(資料)
渡辺 二朗 シブヤマシナリー(株) エコ設備本部 洗浄設備技術部 設計課 技師
テーマ3:「SIP技術による塗膜管理技術」(資料)
菅原 勝也 日本ペイントマリン(株)技術本部 技術三部 東京グループ
テーマ4:「ストライプコート用ツールの開発」(資料)
櫻木 和之 旭サナック(株) ユニットマーケティング部 東部グループ支店 塗装機械課
テーマ5:「無機ジンク塗料を用いた新システムに関する調査研究」(資料)
宮地 幸夫 中国塗料(株) 技術本部 防食技術部 部長
3.質疑応答
(1)テーマ1「NC切断時のエッジ処理技術」
問:NC切断時のエッジのR処理技術については、今後オーソライズ
するために、国際機関等への提案を考えているか。
答:開発側として開発した技術に対して責任があると考えている。
今後、技術の普及等が船技協の役割である。本技術によるR処理の
取り扱いは、PSPCの3社合意での取り扱い事項に当たると思う。
今すぐにIACS等への提案は考えておらず、現場での使用実績を
積み重ねながら、技術の改良を図っていきたい。
問:ベベル角157.5度で、検査で3パス相当とみなしてもらえるか。
オーソライズしてもらえるか。
答:157.5度で3パス相当とみなせると考えていたが、確かに見たところ
角があるように見える。そこで客観的に評価する必要があるとの
判断から、エッジ部の膜厚付着性能について試験を行い、3パスで
精度が悪いものとNC処理した場合の精度が悪いものを比較して、
NC処理の方が勝っているという客観的データを得た。現在の
ところ、全社が賛同して使っていただける状況にはないが、
塗膜性能としては3パス相当以上という結果を得ている。
(2)テーマ2「混気ジェットを活用したブラスト技術」
問:戻り錆防止のために添加剤を使用しているが、塗料メーカーは
認めるか。添加剤を入れた場合にPSPCはクリアできるか。また、
添加剤を入れた場合に塗料の認可を受けるための試験を
受けるのか。
答:塗料メーカーとしては、認めると思う。PSPCをクリアすることは、
可能であると考えている。添加剤は無機質で(ショッププライマー
を含む)上塗りとの相性はメーカーも合意している。型式承認の
認可は必要ないと判断している。
参加者アンケート結果(ご質問への回答付き)